ザッザッという砂利を踏みしめる足音から、次第にコツコツと大理石を踏むような音に変わっていく。


洞窟の奥はイスナ国の者によって綺麗に整備されているのだろう。


微かに奥の方から静かな水音が聞こえ、次第にはっきりと耳に届くようになる。


一本道は長くはなかった。



通路の奥には空間が広がっていて、ランタンの灯りではすべてを照らすことができない。


少しでも広く辺りを確認しようと、ローグはランタンを高く翳した。


地面には何かが置かれている。


小さな祭壇のようなものと、その向こうに泉があるのが分かる。

灯りを受けてキラキラと水面が反射していた。


人や動物の気配はない。

自分たち以外に、ここには誰もいない。



「大丈夫だ。何もいない」


カチュアはそれを聞いて安心すると、ローグに祭壇まで灯りを照らすように頼んだ。


小さな祭壇の前に置いてある二本の蝋燭に火を燈す。


先ほどよりも洞窟の中が全体的に分かるようになった。