ローグたちが姫様を連れて旅立つ。


どこからそんな話を聞きつけたのか、歩を進めるジルたちを村人たちが見守るかのように集まってくる。


こんな小さな村だ。

イスナの姫の噂も、ジルたちの護衛話も、すぐに広まってしまったのだろう。


姫はリィズ村に着いてから、殆どかすみ荘の中で一日を過ごしていた。


そんな姫を一目見ようと集まってきた村人もいたのかもしれない。



「夜までに安全な場所を見つけないと。
行きましょう」


四方から注がれる視線に、身を硬くした姫の背中を、ジルはそっと撫でた。


一瞬、肩をビクッと震わせた姫だったが、それがジルだと分かると彼女は唇を結んで頷いた。


村人たちには物珍しく映るであろう存在をそっとローブで覆ってやる。


一行はまずバルバロッサの森を目指して歩き始めた。