さて、姫たちの乗ってきた豪華な馬車は、サダソたちが昨日にイスナへ戻るのに乗っていってしまった。


即ち、ジルたちは徒歩で洗礼の洞窟まで行かなければならない。


地図を見てみるとバルバロッサの森の奥深くに位置しているようなので、どちらにしても馬車は使えないのだが。


姫の負担にならないよう、休憩はこまめに入れていかなければならないだろう。


また、洞窟まで一日半くらいはかかりそうである。


姫に野宿をさせてしまうのは少々心苦しいところではあるが、それも我慢してもらうしかない。



「では、行きましょうか」


緊張した面持ちのカチュア姫に対して、ローグは優しく言葉をかけた。


黙って頷く姫を宿の外へと誘導する。


外に出ると、スコットとスピルが見送りに出てきてくれた。


「気をつけて行ってきなね」

「ローグ。姫様をきっちりとお護りするんだぞ。
間違っても変なことすんじゃねぇぞ」


優しく言葉をかけてくれるスピルとは裏腹に、スコットはニヤリと笑いながら冗談を飛ばす。


「しねぇよ。ばーか」


ローグはそれに対して軽くあしらって手を振った。