イスナ国の伝統的な行事で、王位継承権を持つ者は16歳になると洗礼の儀式を受けることになっている。
イスナの城下町から離れた地、バルバロッサの森の奥深くに、洗礼の儀式で使われる聖なる泉をもった洞窟が存在する。
この洞窟自体、何十年も前にイスナ国王の命で儀式用に作り直されたらしいが、その辺のことはよく分からないらしい。
その洞窟に赴き、儀式を済ませ、またイスナへ戻る。
王位継承者はこのことが義務付けられているという。
護衛の兵士とお供の側近を従えることが許されているが、ほぼ初めての遠出になる。
王位継承者にとっては大きな試練の旅になるであろう。
現イスナ国十三代目の国王メルビンの血を継ぐ者は、一人娘のカチュアだけだった。
メルビンは目に入れても痛くないほどカチュアを可愛がり、そして愛情を注いだ。
そして先月、ついにカチュア姫は16歳の誕生日を迎えたのである。

