今度はローグが攻撃する番だったかの如く、軽く跳躍し、間合いを詰めてきた。


ローグの剣は寸分の狂いもなくジルの急所を狙ってくる。


その攻撃に遅れることなくジルは防御体制に移った。


左腕を使って流れるように大勢を変えながら剣を払う。


尚も繰り出される剣先を仰け反って躱すと、剣先から生まれた風圧がジルの前髪を揺らした。



一瞬の間を詰めてローグの持つ剣の柄に手を掛ける。


それを思いっきり引っ張ると同時に、ローグの開いた脇腹目掛けて蹴りを放った。


すかさずジルの手を振りほどいて、剣の柄を使って防御するローグ。


そこを掬い上げるように蹴り上げると、木刀はローグの手を離れ、回転しながら宙に舞った。


その木刀が緩やかに弧を描きながら地面に突き刺さる。



今だ!

武器を失った剣士を追い詰めるには絶好のチャンスとばかりに、ジルは更に間合いを詰めるように地を蹴った。



その瞬間にローグは技を放っていた。


左手に拳を握ると、ジルの攻撃が命中する寸前に広げ、掌を押し出した。



一瞬の閃光と軽い爆風が辺りを包む。



直後、ほぼ同時に二人は尻餅をついて地面に転がった。