「よっ！ はっ！！」


掛け声とともにローグの扱う木刀の剣先が、鋭く身体を突いてくる。


ジルは素早く繰り出される突きをスレスレで躱し続ける。


隙をみてしゃがみ込むと、ローグの足元に足払いを掛けにいく。


ローグはそれをバックステップで逃れると、今度は持ち手を変えて木刀を地面に突き立てるようにして振り下ろした。


転がってローグの側面に回ると、素早く後ろ回し蹴りを放つ。


バシッ！


ローグに防御されることは予想済みだ。


追い討ちをかけるように次々と足技を繰り出し続ける。


「くっ……！」


ローグの歪んだ顔が見えたが、攻撃の手を緩める気などない。


木刀で防御するローグの顔に、胸に、容赦なく蹴りを放つ。


隙を与えるつもりもない。



だが、ローグもそれなりの実力者だ。


僅かに見つけた隙をついて剣を突き出す。


ジルは一旦間合いを取って構え直した。