ジルの周りにいた少年たちも呆気にとられ、何事かと少年の言葉を待つ。


「マイク、どうしたの?」


ジルは膝をついてマイクの目線にまで下がってやると、呼吸の辛そうな彼の背中を優しくさすってやった。


マイクはそんなことどうでもいいといった感じでジルの手首を逆に掴む。


今自分が走ってきた道の向こうを指差して言った。


「はぁはぁ…。ジル。
な、なんかさ、すげぇのが来たんだよ。はぁ、はぁ…」


まだマイクの呼吸は落ち着かない。

慌ててきたということもあるが、興奮冷めやらないといった雰囲気だ。


「すげぇの?
とにかくマイク。落ち着いて」


「落ち着いてなんかいられないよっ。
なんか、でっかい馬車みたいのが来たんだ! お金持ちだよ、あれ。
と、とにかく来てよっ!」


そう言ってジルの腕を無理やり引っ張る。


興奮した彼の力は相当なものだ。

ジルは前につんのめりながら、マイクに引っ張られていった。