ジルたちが村に戻ってから三日が過ぎていた。


しばらくはこの村でゆっくり暮らそうと、ローグはその体力を生かし力仕事のアルバイトに出かけている。


ジルは村の子供たち相手に武術の指導をしていた。


子供たちの憧れでもある冒険の世界。

いつかはその大きな世界へと旅立ちたいと夢見る少年たちにせがまれてのことだった。


冒険の世界は甘くない。
体力や技術を身につけておくのは必須だ。


少年たちはそのことを誰から教えられるわけもなく理解しているようだ。


また、単に“武術”というものに興味を示して、という子も中にはいるようなのだが。



「「えいっ! やぁ!!」」


学校の授業が終わった昼下がり。

村の中心部に位置する広場に子供たちの気合の入った掛け声が響く。


「腕はまっすぐ伸ばして、重心は低く…、こうよ。
そう。いい感じ」


一人の男の子の腕を取りながら、丁寧に指導していく。


褒められた男の子は、少し照れたようにニッと笑ってジルを見上げた。