日が暮れる前に少しでもリィズ村に近づこうと、一行は移動を開始していた。


早くてもリィズ村に辿り着くのは明日になる。


もたもたしていては村に帰るどころか、モンスターに襲われる羽目になってしまうだろう。



カチュアは少しだけ落ち着きを取り戻したようで、赤く腫れぼったい眼をしながら自分の足で歩いていた。


先頭にローグ、そして離れないようにカチュアが続く。

ジルはクリストファーとそこから少し距離を取ったところで歩を進めていた。


すべてを暴露したクリストファーだが、これ以上おかしな行動を取らないとも言い切れない。

逃亡を謀らせる訳にもいかない。


クリストファーの腰には麻縄で作ったロープが巻かれ、その先端はジルの手の中にあった。


どんな理由があったにせよ、この男は姫の命を狙った犯罪者だ。


その罪はイスナ国の法律下で裁かれなくてはならない。



四人を取り巻く空気は通夜のように重苦しい。


ジルは落ち着きを取り戻したカチュアから、少しだけヒールの魔法を掛けてもらったのだが、それも焼け石に水のようで、あちこち打ち付けたところが今になって痛む。

焔を喰らったローグも同じだろう。


誰もが重い足を引き摺るようにして、一歩ずつ前へ進んでいた。