カチュアは項垂れているクリストファーにそっと近づいた。


ジルはそれを止めようとしたのだが、ローグに制されてしまった。

ローグはジルを見つめながら首を振る。


自分たちが割って入ることではない。
そう言っているようだ。



クリストファーは何も言うことなく、地に視線を向けて佇んでいた。


ジルに殴られた頬が痣になり、とても痛々しい。


カチュアを殺すくらいの力は残っている。

ローグたちと戦えない訳でもない。


それでも彼はこの状況に観念し、すっかりと戦意を喪失させていたのだ。


カチュアがそうさせたのだろう。


彼女が慕ってくれていたのを忘れることはできなかった。

この女を憎しみの対象として見られなかった。


すべてを投げ捨てて、復讐の鬼と化すことはできなかったのだと悟った。



カチュアはクリストファーの横に膝をつくと、彼の顔を覗いた。

安堵と悲しみ、そして悔しさを帯びた瞳で。


ずっと信じていた。

まさかこんな形で裏切られるとは思いもしなかった。