クリストファーの姿をこの目で確認したとき、ジルは背筋にゾクリとした悪寒が走るのを感じた。


そんな…、
まさか……。


先ほど感じた嫌な予感と、まだ危険が取り除かれていないという予測。


そのひどく恐ろしい予想など当たってほしくなかった。


目の前の男の存在が、ジルの思考を掻き乱し、心臓が早鐘のように鼓動を打っている。


そんな動揺したジルを、クリストファーは何の感情を込めもしない無表情な目で見据えていた。



「クリスっ!」


カチュアが彼の元へ駆け寄ろうとしている。


「カチュア、待って」


すかさずカチュアの腕を取り、彼女を制した。


カチュアは眉間にシワを寄せて、怪訝な顔でジルを見た。


どうしたの?
ジル?


一刻も早く愛しい人の傍に駆け寄りたい。

そんな衝動に駆られているのは分かる。


だが、ジルだって何も考えずにカチュアを制止した訳ではない。


「ジル、どうした?」


ローグもジルの行動に戸惑っているようだ。


心配そうにジルを見遣り、そしてクリストファーを窺うように視線を動かしている。