「ジル。大丈夫か?」


ローグがロングソードをを仕舞いながらこちらにやってきた。


彼の髪は汗のせいでべったりと首筋に貼りついている。


「えぇ。ローグ。早くここから移動しないと。
ここは危険だわ」


そう言ってジルはカチュアの手を取った。


「ど、どういうこと?」


事態の飲み込めない様子で、カチュアはジルとローグを交互に見遣った。


ローグにしてもジルの言葉に疑問を持ったようだ。


厄介なモンスターはたった今倒したばかり。

少し休憩を取ってもいいくらいだ。


「説明は歩きながらするから、とりあえず…」


そこまで言ったとき、ジルは背後に人の気配を感じた。


察知した瞬間に振り返る。


先ほどまで誰もいなかったそこには、長い銀髪にローブ姿の背の高い男が立っていた。



「クリスっ!」


カチュアがその男の姿を認めて名前を呼んだ。


そう。そこに立っていたのは、一昨日前にサダソと鉄仮面兵士と共に自国へと帰っていったはずの、クリストファー・フレックスだった。