振り返ったら案の定、葵がいた。 「あの、さ、…」 葵は走って追いかけて来たのか、少し息が上がっていた。 「どうした?一緒にいた彼はいいのか?」 「え、あ…。拓海くんのこと、置いてきちゃった。」 その時、俺の中の何かがプツンと音を立てて切れてしまった。 拓海くん、なんて呼ぶんじゃねえよ。 「なに、二人でお楽しみしてたのか?邪魔して悪かったな。」 乱暴に吐き捨てる。 葵をまた傷つけてしまう。 分かっていたが、止めることが出来なかったのだ。