瑠撫side

やだ、行っちゃやだ…

良夜が出て行ったあと良夜に出会う前の記憶が一気にフラッシュバックした。

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五歳のころ私は親に捨てられた。

泣きながら途方に暮れていると、

「お嬢ちゃん?どうしたの?」

優しそうなおばあちゃんが話をかけてきた。

『お母さんとお父さんが居ないの。置いてかれちゃったの。まって!っていっても止まってくれなくて…』

まだこの頃は私は喋れた。

おばあちゃんに訴えかけるようにそう言ったのを覚えてる。

「じゃぁ、私の家においで?」

優しく私の頭を撫でながらそう言ってくれた。

わたしはそのおばあちゃんについていった。

その後私はそのおばあちゃんの養子になった。

おばあちゃんはでっかい家に1人で住んでいた。

家族はみんな出て行ってしまったらしい。

この家にきて10年がたった。
おばあちゃんと過ごす日々はとても楽しかった。
勉強を教えてくれる家庭教師を雇ってくれたり、私のやりたい習い事などいろいろやらせてくれた。
そんなおばあちゃんが突然、

「ねぇ瑠撫?瑠撫はお金欲しいかい?」

なんていってきた。

『どういう意味?』

私は分からなかった、普通にお小遣いは貰っていたし特に不満とかない。
というかいままで、十分過ぎるくらいもらっている。

「実は、私の命ももう残り少なくてね?」

悲しげに笑い言葉を続ける、

「この家には財産があるんだ。それをすべて瑠撫にあげようと思ってね?」

私は絶句した。
今までおばあちゃんはとても元気だったのに急にそんな話信じられる分けない。
そう思った。

『やだよ。死んじゃやだよ?
一人にしないでよぉ…
私が大人になるまでずっと一緒にいてくれるっていったじゃん…』

泣きながらそうおばあちゃんにいった。

「あまえるんじゃない!!
もぅ瑠撫は大人なんだ!ずっと私のそばにいるわけにはいかないの。
ね?瑠撫…」

初めておばあちゃんは私に怒鳴った…
その時のおばあちゃんは泣いていた…

私はしゃくりあげながらおばあちゃんに抱きついた。

「瑠撫…私の娘のように育ててきた。とっても可愛くてとても繊細で華麗な子。甘えたがりで猫みたいな女の子。
私のそばにずっといてくれてありがとう。」

それがおばあちゃんの最後の言葉だった。

このあとの記憶は…
残酷なものとなる…