あたし、七原愛奈。


中学3年生。


でも、まだ3年生になったばかりだから志望校とか、全然決まってない。


特に行きたいところもないし。


まぁ、まだ5月だし。別にいいや。


そんな感じだった。


みんなもそうなのか、身だしなみとかだらしない人が多い。


うちのクラスも、真面目な格好の人はごく少数。


秋くらいになったらみんな真面目になるのかなぁ。


そんな事を考えていたら、可愛い女の子が話しかけてきた。



「あ〜いなっ♪ねぇねぇ、聞いたぁ?
2組の○○君と○○さん、別れたんだって!!それで、その○○君、また他の誰かと付き合う事になったんだってぇ〜!」


そう、この子は私の親友、高岡美沙。


3年生になってから、よく一緒にいるようになった。


「まじで!?うわぁ〜。あ、あのさ、その"他の誰か"って、誰だか分かってるの?」



「ううん。まだわかんないけど、これって相当ヤバくない!?」


「あはは!確かに!!」



キーンコーンカーンコーン


「あ、もう席着かなきゃね。じゃあね、愛奈!」



そう言って立ち去る美沙。


ガラガラッ


「おはようございまーす!」


そう言って教室に入ってきたのは担任の西条先生。


「みんな、今日はまぁいつも通りの時間割だけど、忘れちゃいけない事があります!!さぁ、それはなんでしょう?」


この先生はいつもこうやって大事な事をみんなに当てさせている。


多分、こうすれば皆の記憶に残りやすいからだろう。



「テスト!?」

と、クラスメイトの1人が言う。

「残念ながら違いますね」


「保健室が休み!」


「それも違うなぁ」


「火災訓練!」



「地震訓練!」


「家庭科の実習!」


「どれも違うなぁ。」



「あ!分かった!学年集会!!」



「正解!!」


どうやら、今日は学生集会があるらしい。


また進路の事かな、と思っていたら


「でも、今日の学年集会は進路の事とは全然関係ありません。」


「実は、3日前の放課後、4組の川端さんの靴が隠されたんです。その次の日は北山くん、さらに昨日は西崎さんのが。」


連続で靴が無くなってる事を知り、教室がざわつく。


「さすがに、あまりにも続いてるものだから今日、学生集会を開くそうです。
と、いうわけで、ちゃんと覚えておいてください。じゃあ日直さん、号令お願いします。」



「起立!姿勢!礼!ありがとうございました」