「あ、あのね。実は」


ふんふん、と河野さんは私の話を聞く体勢をとった。


「私、前に久賀くんにポーチを貰ったの。それを今日、返して来たんだけど、うっかりペンとか入れたまま返しちゃって……」


へへ、と苦笑いをすると、河野さんは手をパチンと打った。


「わかった。それで、ペンを返してもらいたいんだけど気まずくて行けないのね?」


「え?うん…」


「それじゃわたしに任せて。わたしが久賀くんとこに返してもらいに行ってあげる」


「え、でもいいのかな」


「いいよいいよ!久賀くんだって返されて柊さんには会いたくないと思うし」


「………」




そっ…か、


そうだよね



怒ってるだろうし、わたしになんかもう会いたくないよね……



そうに決まってる




「…じゃあ、お願いしようかな」


そう言って顔をあげると、河野さんはにっこりと笑った。


「任せて」