「どうしたの?」


「え?ううん、別に何でもないよ」


「そうー?」


河野さんは訝しげに私の顔を覗き込んで、首を横に振った。


「何でもないって顔してないよ?」


「え……」


「何かあったの?私が助けてあげられること、ない?」


「いいよ、自分でなんとかできるから……」


そう言って断ると、河野さんはそう…、とトーンを落とした。


「私じゃ、ダメかな……?」


「え!?」


河野さんが急に悲しそうに俯いたから、私はあわあわと首を横に振った。

綺麗な瞳が今にも泣きそうにゆらゆら揺らめいて、同性相手にときめいちゃった。


「だっ、だ、ダメじゃないよ!」


「そう。で、何があったの?」


私が言った次の瞬間には、河野さんはにこにこと私に尋ねてきていた。



だ、騙された……??