「おーい、ちょっとそこの~」


明らかに俺たちに向かって手招きしている人がいて、俺はほっとした。


おお、救世主。

これでなんとかこの変な空気から抜けられる。


……って。


「げ」


福引きオヤジじゃねーか。


「おお、ぼうず!なんでぃ、今日は彼女連れかい」


今日も法被姿のオッサンは、イキイキと嬉しそうに柊を見た。

おい、エロオヤジ、柊引いてるだろうが。


鼻の下伸びてんぞ鼻の下。


「やめろよオッサン。柊が可哀相だろ」


引きつった笑顔で固まっている柊を背中に隠してエロオヤジの視線を避けてやると、オッサンはにやーっと気色の悪い笑みを浮かべた。


うおお、やめろその顔。


「こんな可愛い彼女連れて、ぼうずもすみにおけねぇな」


「余計なこと言わなくていいから、用件はなんだよ、用件は。なんか用があったんだろ?」