「ねぇ家来その1、のど渇いたんだけど」


やっとヤクザが去ったと思ったら、真宏のからかった声が飛んできた。


このヤロー、急に元気になったな。


「なんか買ってこいよ。オレンジジュースはやだよ」


「誰が行くか」


「俺を王子にしたのはどこのどいつかな」


「腹立つお前」


仕方なく財布を握って席を立った。

これでチャラってことにしてやる。


不機嫌に教室を出ようとすると、真宏が笑い転げていた。


「くじ運最強の遼平でも、配役は選べないんだから面白いよね」


「うるせー」


バタンとドアを閉めてやった。

まったくもってその通りだ。



アイツ今度はお姫様役に仕立ててやる。



ガン、と壁を蹴って自販機に直行した。