そっぽ向いてる真宏の耳がぴくんと動いた。


「そーよ。あんたの役はね、王子の家来その1よん」


はあ!?



「ふざけんな。なんだよ家来その1って」


真宏が必死で笑いをこらえている。

山崎はずいっと俺の前に体を乗り出した。


「あんたがやれそうな役なんて、これしかなかったの。それとも、王子が乗る馬の役が良かった?文句あんのか!」


「ないっス」


「おし、これがあんたの分の台本だ。放課後までにセリフを覚えてこいよ。一言しかないんだからな」


「はい」


「よし、いい返事だ」


山崎は台本を俺の手に押しつけて、さっさと離れていった。


なんだアイツ、ヤクザか。