side 胡桃

ピピピピピピピピ

一定の間隔で流れるアラーム。

ピッ。

アラームを止める。

いつもと変わらない朝。

「ふぁ~・・・。」

階段を降り、リビングへ向かう。

机の上には、三万円が置かれていた。

普通の高校生なら喜ぶと思う。

けど、うちは違う。

「はぁー・・・。」

深く溜息をつきながら冷蔵庫を漁り、

冷蔵庫から明太子を取り出し

ご飯をつぎ、明太子とご飯で食事を済ませる。

ふとリビングの隣の部屋から

話し声が聞こえた気がした。

また男でも連れ込んでるんか・・・。

あの女が男を連れ込むのは少なくはない。

嫌じゃないといえば嘘になるけど

嫌だと言ったところで何も変わらん。

うちは自分の部屋へ戻る。

そして、きれいな新しい制服へ袖を通す。

そう、今日は入学式。

うちが受けた高校は、家から電車で一時間もかかる場所にある。

なぜそんな高校を選んだかって?

中学でいじめられていたからっていう

ごく鉄板の理由。

原因は親の不倫。

だからうちは、そんな親が大嫌いやった。

親は、私が中学2年の頃に離婚していた。

うちはそれを知らされることはなかった。

少しして父が家からでていった。

のちに母から離婚したということを聞かされた。

前々から、家庭は崩壊してたから

なんも思わんかった。

うちは高校生活で友達を作る気なんか無い。

うちを知ったら、みんな離れていくから。

そんなんやったら、最初から友達なんておらん方が

よっぽどましや。

もちろん彼氏なんて必要ない。

そう思ってた。