たとえ愛なんてなかったとしても

「デビュー前ならともかく、デビュー後にそんなにいじったらバレバレだからやめとけ。

大体そんな時間がいつあるんだ?」



予想はしていたけれど、エリックさんは私の悲痛な叫びに動揺することもなく、優しい言葉をかけることもない。


だけど下手ななぐさめの言葉をかけられるよりもずっと良かった。


そのままで十分きれいだとか、人は中身が大事だとか言われても、私の心には届かないから。


整形しても過去の自分にこだわりすぎず、明るく生きている人はたくさんいる。


そうできないのは、過去から逃れたいと願いながらも。
誰よりも過去に固執しているのは、きっと他の誰でもない自分自身だから。


自分でもおかしいと思うくらいに過去や外見にこだわって。

どこかおかしいことは、頭では理解していても、刷り込みのように受けた教育や小さな頃の記憶は簡単には忘れられないもの。


だから、きれいな言葉でそれを否定されても、響かない。

どんなに優しい言葉をかけてくれる人よりも、ただ事実のみを言ってくれる彼の言葉だけが、私をここに繋ぎとめていてくれる。