たとえ愛なんてなかったとしても

「......そうですよ。
きれいになったでしょ?」



高校を卒業してから、一重まぶたを二重にする手術を受けた。


一重を二重にしただけ。
線が一本あるかないか、ただそれだけで眠たそうな目がパッチリとした目に。


私の場合はたったそれだけの簡単なことで、ずいぶん印象が変わった。

まるで別人というくらいに。



「もう別人だよ!前から噂あったけど、やっぱり整形だったんだ。
整形前の、この顔でよく芸能人目指そうと思ったよね?すごーい」



自分が一番じゃないと満足できないのか、他人を見下しすことばかり考えている女。

私が整形だからといって、それが何?


嫌な女だと思う一方で、気持ちも分からなくもない。



「先輩こそ、顔が可愛いというだけで、よく歌手になれましたよね。
新曲テレビで見てましたけど、口の動きと声が合ってなかったですよ?
時差ですか?

顔は整形で直せるけど、演技力と歌唱力を直すのは大変ですよね」



最低な女だと嫌悪する一方で、私だって本質は、この女と大して変わらない。


自分が一番じゃないと気がすまないし、どんな手を使っても勝ちたい。

自分より劣った誰かを見下して、私の方が上だと安心して。


そんな生き方しかできない。