たとえ愛なんてなかったとしても

「......とにかく今から実行するから、中入ろう」



それも、そうか。
本番まで時間もないだろうし。


こんなところでゴチャゴチャ話しているよりは、さっさと実行した方がいい。


そうだねと返事をして、彼の後に続いて中に入ったとたんに、聞いてくださいと声を張り上げた俊輔くん。



「何? まだ時間じゃないだろ?」



歌詞の確認をしていたエリックくんは、俊輔君の言葉に顔を上げ、他のメンバーも一斉にこちらに注目した。



「あの......突然なんですけど、俺たちこのままじゃ良くないと思うんです。

もう少しお互いのことを知る努力が必要というか、ほら、たとえばプライベートで食事に行ったりとか......」



うん、本当に突然だねー。
何の前触れもなく、いきなりそんなことを提案した俊輔くんにもちろん誰も同意しない。



「は?なんで仕事でもないのに、そんなことしなくちゃいけないんだ。
やりたいやつだけ、勝手に仲良くしてたらいいだろ」


「やりたいやつだけ、ってそれじゃダメですよ。
みんなの親交を深めないと」



完全に仲良くする気がないエリックくんに言い返すも、あまり相手にされてないみたいだ。


......仕方ないなぁ。