「お母さん、ありがとうございました。
大好きな人と付き合うことができました」



俺の言葉に頷いて、今までの泣きそうな顔から急に笑顔で写真に語りかけるミヒ。

それは、母親のおかげなのか?



「......それよりもどうするんだ。
焼肉行けそうにないなら、行くのやめるか?」


「行く!」



焼肉にはよほど行きたかったのか、勢いよく返事をして、俺の腕に自分の腕を絡ませるミヒ。

そんなミヒの頭を一度撫でて、抱きしめる。



「俺も、好きだ」


「......え?」


「さっきの返事。
天国の母親に報告されたら、俺も応えないわけにはいかないだろ」



そう言うと抱きついてきてキスをねだられたので、触れるだけのキスをしてから、俺にしがみついている腕を外し、早く行くぞと引っ張る。



「ほら、早くしないと会場のスタッフにも迷惑かかるし、みんなも店で待ってるから。

......続きは帰ってから、な」

 

まだ二人でいたいと言うミヒをなんとか言いくるめるためとはいえ、何言ってるんだ俺は。


厳しいリーダーだったはずのこの俺が、ずいぶん甘くなったものだ、と自分で自分に呆れながらも、ミヒと共に控え室を出た。