空港に迎えにきてくれてから、今までのことがどうも信じられなかったけど、手の中の鍵の確かな感触にようやく実感がわいてきた。

エリックさんの彼女になったんだよね。


......こんな感傷に浸ってる場合じゃなかった。
テーブルの向かい側の俊輔さんを見て、自分一人だけ浮かれてはいけないと気づく。


誰が今回の件での一番の被害者かって、女同士の争いに巻き込まれた上に、元カノは他の男といつのまにか付き合ってて、好きな人にもばっさりフラれた俊輔さんかもしれない。



「でもさ、キャシーもよく分からないよね。
エリックさんじゃないけど、私もキャシーは俊輔さんのこと好きだと思ってたのに。
やっぱり一人の人と付き合うのは嫌なのかな?

あの子とは友達になれても、恋愛観だけは一生理解できない気がする」


「まぁ仕方ないだろ。
キャシーにはキャシーの考え方があるんだし、無理強いできないから。
......それに、飽きたなら、仕方ないよな」



......余計なこと言ったかな。
私、エリックさんよりなぐさめるの下手だ。