久しぶりに独特の空気のある空港に着いてから、空港近くに泊まって、朝一でソウルの病院に向かった。


その間、何か考えこんだり、ゆっくりする暇もなく、空港や病院でマスコミに囲まれたけど、全て無視して通り過ぎた。


時間があったのなんて、一時間ばかりのフライトだけで、相変わらず心の整理もできてない。


けれど、今さら帰るわけにも行かず、病室の前で立ち尽くしていた。

根掘り葉掘り家族関係を聞き出そうとする看護士を適当にかわして、高圧的な態度で治療費の話をする医師から、なんとか病状を聞き出したけれど。

目を覚ましたことが不思議なくらいで、いつ呼吸がとまってもおかしくないと言われても、やっぱり他人事のようにしか思えない。

最後かもしれないから声をかけてあげて......って、何を言えばいいか分からない。


ドアを開けようか迷っていたけれど、付き添っていた看護士に促されて、考えがまとまらないまま、ドアを開ける。