騙されたとか、許す許さないとか、そんなことよりもレイナの悲しい顔は見たくなかった。

それに何より、やっぱり俺はレイナが好きなんだ。こんなことになっても、それでも。



「泣く必要ない」


「そうですね、......ごめんなさい。
仕事なのに泣いたりして、ごめんなさい」


「そういう意味じゃない。
これが最後じゃないんだから、わざわざ泣く必要ないって言ったんだ。

いつでもってわけにはいかないけど、デートだったら、またできるだろ。
俺は水族館は興味ないけど、レイナが好きなら今度行こう」



泣きやませようと思っているのに、本格的に泣き出してしまった。

向こうのスタッフも異変に気づいたのか、ザワザワしている。



「いいんですか?
また、会ってくれるんですか......?
怒ってないんですか?」


「怒ってるよ。
怒ってるけど、仕方ないんだ。
それでも、レイナが好きだから。

次からは回りくどいことしないで、何かあったら直接言って」



スタッフがこちらに近づいてくるのを横目で見ながら、早口でレイナの耳元で囁くと、レイナは少し戸惑った後で頷いた。