たとえ愛なんてなかったとしても

「利用するつもりもないし、どうでもいいと思ったこともないです。
目的があったのは本当だけど、私は......ただ......」



言いにくそうに口ごもったレイナに、先をせかすと、一度うつむいた後に顔を上げて、何か決意したように俺を見上げる。



「好き、なんです。
なかなか勇気がなくて話しかけられなくて......。

炎彬さんと同じ事務所の子に情報教えてもらって、だからその、チャンスだと思って、同じ趣味だと、偽ったんです」


「......それ、本気で言ってる?
なんでそんなややこしいこと......。

最初からそう言ってくれたら良かったのに。
騙してたことにも言い訳しなかったし」



俺と同じ事務所って、あのときキャシーとの話を聞かれていた、そしてレイナと話していた子だろうか。

レイナの話が事実だとしても、腑に落ちない点がある。あの時の話と、どうも噛み合っていない気もするし。

そもそも、そんな趣味がありますと暴露するぐらいなら、しかも小道具まで買う勇気があるなら、普通に話しかけられるだろ!