たとえ愛なんてなかったとしても

「そんなこと......、思えないです」


「だろうな。
そうだろうけど、ちゃんとやって。

この後も仕事が入ってるから、あまりにも遅れると困る」



二人で会えて嬉しいと、好きだと思っていたのは俺だけで、レイナは俺に何の興味もない。

当然彼氏だなんて、思いたくもないだろうけど、直接本人から聞くと、悲しいを通り越して怒りがこみ上げてくる。

レイナも決して暇ではないだろうに、何でわざわざ興味もない俺との時間を作っていたんだ。


力なく無言で頷くレイナに、今までよりもさらに小声で、撮影の相手が俺で嫌だろうけど、一回ぐらい我慢しろ、と付け加える。

そう言えばレイナはすぐに首を横に振った。



「嫌なわけないです。
今日だって、炎彬さんに会えて嬉しかった。

むしろ私が相手で、炎彬さんに申し訳なくて......」


「嬉しいって、何でだよ。
何の目的か知らないけど、利用してただけで、俺のことはどうでもいいんだろ?」



言っている意味が分からなくて、さらに問い詰めると、どんどんシャッターを切られているみたいだった。

楽しい話題なんて全く話していないにも関わらず。