たとえ愛なんてなかったとしても

「僕は事務所に戻らないといけないから、戻るよ。後はよろしくね。

くれぐれも、スタッフや相手の女性に迷惑をかけないように」



さんざん俺のインタビューを邪魔したマネージャーは、事務所への報告や他の仕事があると、事務所に戻ろうとする。

迷惑をかけるな、と釘をさすことを忘れずに。


どれだけ信用がないんだ、俺は。
いったいいつ迷惑かけたっていうんだよ。


インタビューのことも含めて、マネージャーへの不満を口にすれば、疲れたようにこちらを見た。



「うん、分かったから。
後でそれはじっくり聞くよ。

僕にはいくらでも言ってもいいけど、現場ではプロとしての自覚を持って行動して。
頼むよ、本当に......」



最近また一段と増えた白髪に、いつもよりも法令線のしわが濃く見えるマネージャー。 

相当ストレスと疲れがたまっているのか、ただの老化なのか......。


疲れたようなマネージャーに、続けようとした不満をぐっとのむこむ。

不本意ではあるけれど、これ以上マネージャーにストレスを与えないように、と。


俺たちが休む暇もなく問題を起こすせいか、元々気の弱いマネージャーは、去年神経性胃炎で入院してしまった。

すぐに退院したけれど、まだ本調子ではないようだし、このままでは再発しかねない。


普段自分のプライベートも犠牲にして、俺たちの仕事を根回ししてくれるマネージャー。

体を大切にしてほしい。

それに、他のマネージャーもいるが、口うるさくてもやはり一番信頼のおけるマネージャーでもある。