「自分で言うと魅力が半減しますよ。
日本では、もう少し謙虚な方がいいんじゃないかなー、なんて......」


「自分でアピールしなかったら、どうやって気づいてもらうんだよ。

謙虚だと、何か得するのか?
メリットでもあるのか?」


「そう言われると困るんですけど......。
メリットとか、そういう問題じゃなくて、ですね」


「メリットがないなら、謙虚である必要ないな」

 

とっくにエレベーターは目的地に着いたというのに、早く出ていきたそうにしている俊輔を捕まえて、俺は話を続けていた。
   
きっぱりと言い切った俺を見て、俊輔はもう一度ため息をついた後に、どこか悟りを開いたような目で俺を見る。



「いやいや......。
......分かりました、もう好きなように生きてください。誰にもあなたを止めることはできません」


「そうか、分かったならいいんだ。

だいたいお前は言い方も回りくどいし、控えめ過ぎる。もっとはっきりと自分をアピールしないと、これから先やっていけないぞ。

そんなんだから......」



言い方にトゲがあった気もするが、納得したみたいなので、それに気を良くした俺は今から仕事ということも忘れて、説教を続けた。 

ほら、あの時もああだったし、いつかなんてこんなこともあっただろう、と。