たとえ愛なんてなかったとしても

階段にいつまでも留まっていれば当然だが、さっきから通りすがりの練習生やらスタッフにジロジロ見られている気がする。


俺とミヒが話していたとしても何も不自然ではないにしろ、話の内容はあまり聞かせていい内容でもない。


とりあえずは場所を変えようと、嫌がるミヒの手を強引につかんで、空いている練習室に入った。



「何ですか......っ、離してください!
やめてほしいんでしょ?
そんなに目障りなら、もうやめますから」


「やめてほしいとは一言も言ってないだろ。
お前がやめたいなら、やめたらと言っただけだ」



身をよじって俺の手から逃れようとするので、つかんでいた手を離し、普通に答えただけなのに、なぜか泣き出してしまった。

......泣くとこでもなかっただろ。


こいつはやたら感情的だし、すぐに泣くから面倒くさい。 

俺は一体ミヒを何回泣かせただろうか。

初めて会った時から数えたら、両手両足では足りないなんてものではなく、途中で数えるのが嫌になるくらいの数になるだろう。


聞き分けも悪いし、よく分からないところで泣くし、本当に呆れる。呆れるが......。