たとえ愛なんてなかったとしても

部屋を出てすぐ、どこに行ったのかと探し回る必要もないくらいにすぐに見つかった。

俺たちがミーティングをしていた部屋近くの階段をちょうど降りていけば、そこにミヒが。



「どこにいくつもりだよ。
帰るわけじゃないよな?」


「急に、......出ていったりして、ごめんなさい。気持ちを落ち着かせたら、すぐに戻ります」



後ろから声をかければ、案外としおらしい態度でこちらを振り向いた。



「戻らなくていい。
マネージャーがチケットの手配をしてくれたから、今から準備して、最終の便でソウルに行って。

今日明日を逃すと、スケジュールの調整ができなくなる」


「......行かない。さっき、そう、言いました」



興奮して部屋を出て行った時よりはだいぶ落ち着いた様子ではあるが、一つ一つ単語を区切って、はっきりと拒否した。


どうあっても行かないと言い張るミヒに、やはり俺がきて正解だったと確信する。

この状態を説得するのは、マネージャーはもちろん、俊輔では無理だ。