たとえ愛なんてなかったとしても

「何を言われても、私は行く気はないです。
あの人が死のうが生きようが、私には関係ない」

 

今まで口を閉ざしていたミヒが、冷めたようにただ一言そう言った。

しかしそれは、本気でどうでもいいというよりも、そう自分に言い聞かせているようにも見えた。



「なんてこと言うんだ!」


「うるさい!
人の気持ちも知らずに、みんな好き勝手言わないでよ!

......私は絶対に行かないから!」



ミヒは立ち上がり、自分の発言を咎めた炎彬にどなり返し、興奮した様子で机を叩いて、部屋から出て行ってしまった。





いくら事情があるとはいえ、仕事を放り出して、出ていったあいつには呆れる。

気持ちは分からなくもないが、逃げ出されたら周りの人間だって困るだろ。


ため息をつきながら、腕を組み一人言を言っているマネージャー。

マネージャーだってこんなこと言いたくていってるわけじゃないだろうに、仕事だからと彼も苦労人だ。


仕方ない......。



「お前たちは、打合せ続けておいて。
すぐに連れ戻してくる。

お前もだ、俊輔。
俺が行ってくる」



俺よりも先に席を立ち、ドアに手をかけようとした俊輔を制して、戻るように促す。