たとえ愛なんてなかったとしても

ミヒにだけ、いつも違う......?
嫌いだから、執着する......?

あれ。もしかして、逆?
可愛さ余って憎さなんとかってやつ?

本当は好きなのに、報われないから......。
 
分からないけど、そう考えれば考えるほど、自分の考えが間違っていないような気がしてきた。



「そっか、分かった。
キャシーはミヒのことが大好きなんだな。
なんだよ、二人ともツンデレ......、ヤンデレか」


「は?何言ってるの?頭おかしいんじゃない。
そんなわけないでしょう? 
だいたいヤンデレって何?

私はあの女が大嫌いなの、だから不幸になってほしいの」



冷静を装ってはいたものの、明らかに早口になり、キャシーは目に見えて動揺している。

それでもまだ、強がりなのか、公共の場で言えば、問答無用で芸能界から干されるようなことを言うキャシーに、いい加減腹が立ってきた。


もう限界だ。
どうして、どいつもこいつも素直になれないやつばかりなんだ。

他の誰が限界を迎えるより早く、自分の怒りの沸点が静かに越えたのを感じてから。


早口で悪い言葉を言い続けるキャシーの頬を軽く叩いた。



「キャシーダメだ、それはダメ。
それ聞いたらミヒがどう思う?
俺だって聞いてて、いい気分にならないよ。

ムシャクシャするなら、俺がムカつくなら、俺を殴ったらいい。

だから、そんなこと言ったらだめ」