たとえ愛なんてなかったとしても

「どうすればキャシーは満足?
俺がミヒと別れたら満足?」


「そうね、でもそれだけじゃ足りない。
ミヒから全てを奪うまでは......」



口からは恐ろしいことを言っているのに、なぜかキャシーがいつもよりも頼りなく感じる。

ぎゅっと片手で、自分の腕を掴み、やはりどこか余裕がないようだ。


ミヒにしても、キャシーにしても、
どうしてそこまで相手に執着しようとする?

俺だったら、嫌いな相手には、なるべく関わりたくもない。

どうしても関わらなければいけないなら仕方ないけど、執着してまで関わりたくない。


何かの仇で復讐とかだったらまだ理解できても、そうでもないのに、そこまで嫌いな相手に執着したいものか?

俺とは違う人間だから、考え方も違うだろうけど、嫌いな人を徹底的に追い詰めたい人もいるだろうけど。

二人もそうだったのか?
ミヒは苦手な人は避けるタイプだし、キャシーなんかは興味ない人間は、必要な時以外無視しそうなのに。

これでは、俺が今まで見てきた二人とまるで違う。理解不能だ。


二人が理解できない......。
正直お手上げ状態になって、まだいつもと違う様子のキャシーをただ黙って見つめる。