たとえ愛なんてなかったとしても

「......分かったよ、熱いお茶な」



なんか理不尽なような気もするけど、本番前にあまりミヒの機嫌を損ねたくもなかったし、幸いにもまだ本番まで時間はある。

お茶くらい買いに行くかと小銭を持って、楽屋を出る。


お目当てのものは楽屋を出て、そう遠くはないところにあった。

廊下にある自販機の、あたたかいと書いてあるお茶のボタンを押す。



「あ、いたいた!
おーい、君!そこの君!」



それを持ってすぐに戻ろうとしたけれど、いくつもの番組の司会をこなすベテラン司会者の人に呼び止められて、立ち止まる。

俺のことだよな?
周りに誰もいないし。



「ちょうどいいところにいた、君。

えーと、エリックくん、じゃなくて.....、英俊、いやちがうな。炎彬?
ヒョンスでもないし、ペーターくんでもなくて......」


「あの、俺、俊輔です」



俺たちも何度かお世話になったことのあるベテラン司会者の男性は、どうやら俺の名前を呼ぼうとしているのだけど。

何度も間違えるうえに、あげくのはてに他のグループのメンバーの名前まで出てきたので、自分から名乗る。