俺には、キャシーが必要だ。
俺には、キャシーがちょうどいい。

お互いを理解して、すきまを埋めるためだけのこいつさえいればいい。



「......エリック?」



何も言わない俺の顔を見上げたキャシーに、そのまますばやく唇を重ねる。


愛してなんかいない。
俺はキャシーも、誰も愛さない。


俺の両腕が空いていて、キャシーの両腕も空いているのなら、ただすきまを埋めるだけ。

面倒な関係も、言葉も、必要ないんだ。
キャシーも俺と同類だ、ただ利用するだけでいい。そうだろ?



「ねえ、本気でおかしいよ」


「そうだな、俺がおかしいのなんて今に始まったことじゃないだろ。
嫌なら、話しかけるな」



眉間にしわを寄せて、わけが分からないといった顔をするキャシー。


言われなくたって、自分がおかしいことはとっくに分かっている。

おかしいとは分かっていても、もう戻れないんだ、キャシー。