たとえ愛なんてなかったとしても

「間違ったことは言ってないけど......」



そこで口ごもった俊輔に、さらに苛立ちを感じる。こいつに対して苛立ちを感じていても仕方がないのは分かっているが、中途半端に気をつかわれると余計に腹が立つ。



「なんだよ、言いたいことがあるならはっきり言えよ」


「さっきキスしたとか、なんとか......。
エリックさんって、ミヒのことどう思ってるんですか?もし少しでも気持ちがあるなら、もう少し優しくしてもいいんじゃ......」


「だったらなんだ?
俺がミヒをどう思ってようが、あいつはお前の彼女だろ?自分の彼女と、他の男を応援してどうする。

嫌になったからって、俺に押し付けようとするな」



俊輔はうつむいて、しばらくの間何か考え込むようにしたあと、押し付けるなんて、そんなつもりじゃない、と一言だけ言った。

人の女に手を出したことがバレて開き直る俺の態度も相当おかしいが、俊輔の態度も俺と同じくらいおかしい。

おかしい関係だ、もう俺も含めておかしいやつばかりだ。



「そうか、ミヒと上手くやりたいなら、キャシーにいい加減にしろって言ってやれ。
ミヒと別れたいなら、そう言えばいいだろ。

それだけの話だ、いちいち俺を引き合いに出すな。
お前がしっかりしてないからあいつらがもめるんだろ」



俊輔だけのせいではないのかもしれない、俺にだって少しは責任があることは分かっている。

それは分かっていても、黙り込んでいる俊輔を見てると怒りが抑えきれなかった。

何がそんなにイライラするのか、自分でも分からないが、もう何もかもがイライラする。