たとえ愛なんてなかったとしても

しばらく黙っていても、俊輔は何も言ってこないので、仕方なく俺が先に口を開く。



「いいか、お前のやるべきことはここで俺と見つめ合うことでも、謝ることでもない。

ミヒを追いかけて、撮影までに連れ戻すことだ。あいつ、あの調子だと戻ってこないだろ。

分かったなら、さっさと行け」



何でこんなことを俺がいちいち言わなきゃいけないのか。

こいつも、もう少ししっかりしてほしいものだ。とため息まで出てくる。



「言われなくても、そのつもりですけど......。
エリックさんは仕事の心配だけなんですか?

泣かせておいて、そんな言い方ひどいです。
どうしてミヒにそんなに冷たくするんですか?」 


「あのな、今そんなこと関係あるか?
俺が何か間違ったこと言った?

お前はいちいちメンバーともめたくらいで、撮影すっぽかしたりするのか。
そんなこと許されるとでも思ってるのか?

仕事にプライベートを持ち込むなよ」



俺の顔色を伺うように、しかし責めるような口調の俊輔に、冷静に言い返すが。

腹の底から怒りがこみ上げてくるようだった。


誰より仕事にプライベートを持ち込んでるのは俺じゃないか。

仕事中に上の空になって、自分の役割さえこなせず......!その上ミヒに責められ、困れば仕事だからと言い訳して。


誰に一番腹が立つのかって、俺の悩みの種のトニーでも、ミヒでも、ましてや俊輔でもない。

情けない自分自身だ。