たとえ愛なんてなかったとしても

その後のイベントで自分が何をしゃべったのかも、ファンの反応がどうだったかも記憶にないが、何とか目の前のことをこなし、雑誌の取材を一番に終わらせる。


後は全体の撮影まで、他のメンバーの取材が終わるのを控え室で待つ。

待ちの時間にも、漢字の勉強をしようとしても一つも頭に入ってこないし、本を開いてみても上の空だったかもしれない。



「.......さん、エリックさん!」


「あ?......ああ、ミヒか。
取材は終わったのか?」



本を持つだけ持って完全にトリップしていたが、肩を揺らされて、ようやくこちらの世界に戻ってきた。



「はい、私の順番は終わりました。
明日の仕事のことで相談があったんです、けど......。
何回も呼んだんですよ。

今日どうしたんですか?疲れてるんですか?」



心配そうに顔をのぞきこむミヒ。
ミヒに心配されるのも無理はないな。

今日の俺は明らかにおかしい。
少なくとも普通の状態ではない。