たとえ愛なんてなかったとしても

移動をして、衣装を着替え、イベント用の野外ステージに立ち、新曲の紹介と披露を終える。


最後に、定番のバラードを歌って終わりだ。
しっとり系ではなく、アンコールでもよく歌ったりする明るめのラブソング。


曲によって、誰のパートが多い少ないは違っていたり、誰がリードボーカルをやるかは変わるものの。
うちは大体俊輔か炎彬がメインで歌うことが多い。このバラードもそう。


歌の技術が一番優れている人がメインボーカルをやればいいというものではなく、癖のなく、低すぎず高すぎず、調和のとれる声の人がやった方がいい。

特徴のある声はソロで歌う分には良くても、グループのメインボーカルはそうではない声の方が良いこともある。


合えて特徴的な声をメインに持ってくる場合もあるし、それぞれグループによってメインボーカルの決め方は違うだろうから、あくまでうちの場合は、だ。


ステージに散らばり、サビの部分をいつものように歌っていたら、俊輔が俺を凝視して何やらジェスチャーで訴えてくる。

喉をクルクルしたり、マイクを押さえたり。


はあ?何が言いたいのか、さっぱり分からない。


しかし俊輔だけではなく、他のメンバーもちらちらと俺を見ている。