なぜか、その手の世界に精通していると誤解されてしまった。

別に精通してるわけじゃないけど、見たらわかるだろ。そっち系に使う道具だって。

なんだってこんな誤解が......。


ああ、どうしてこうも口を開けば開くほどに、悪い方向へと進んでいくのか。

もう俺は口を開かない方がいいんじゃないかと思うくらいの勢いだ。


ようやく運気が向いてきたと思ったのに、まだまだ俺の受難の日々は終わりそうにもない。



「......とりあえずリハーサルまで時間がないから、歌の練習しようか。

その話はまた後でいいよな?」



不幸に見舞われながらも、プロとしての仕事を忘れない俺はさすがだと自分を励まし。

相次ぐ不幸にも絶対に俺は負けないと誓って、涙をのんだ。