たとえ愛なんてなかったとしても

「炎彬さんは、行きたくないですか?」


「そういうわけじゃないけど、三人だとスケジュールが合わせにくいから」


「あの......、今回男性の歌手とデュエットするお話を頂いた時に、相手は炎彬さんがいいってマネージャーにお願いしたんです。

だから私、本当に炎彬さんが相手役で嬉しくて」 



これは、この流れはまさか。

てっきり事務所から決められたのかと思えば、レイナからのご指名だったとは思わなかった。


これって、俺の歌か、もしくは男として気に入ってもらえてたってことだよな。

歌を気に入ってもらえたのなら、歌手としてこれほど嬉しいことはない。


男としての方でも、それはそれで嬉しい。

グループや、週刊誌のことで恋愛沙汰にはうんざりしてるとはいっても、可愛い女から好意をよせられれば悪い気はしない。
むしろ大歓迎だ。


つまり、どちらにしても大歓迎。


ここのところ災難ばかりだったが、ようやく俺にも運気が向いてきたか。


はにかみながら話すレイナを見て、無駄に期待してしまう。