たとえ愛なんてなかったとしても

早いもので、あれから一週間。

メンバーや、中には芸能界の友達や知り合いにも週刊誌に載ってたのお前?なんて聞かれたりもしたが、その誤解を解くことに奔走していたら、あっという間だった。


秒刻みのスケジュールをこなしていたら、例のレイナとのデュエットする曲を練習する時間はほとんどとれなかったが、睡眠時間を削ってなんとか仕上げてきた......つもりだ。



「はじめまして、相反合の炎彬です。
今日はよろしくお願いします」



リハーサルの一時間前に、本番用の衣装に着替えて、レイナの楽屋に入り挨拶をすれば、相手からも同じような挨拶が返ってくる。


レイナはみんなが憧れる美人というよりも、どちらかというと親しみやすい可愛い子で。

明るい色の肩までの髪をゆるく巻いているのも、白いワンピースの衣装もよく似合っている。


軽く挨拶をしてから、さっそく一度通しで合わせてみたら、音がずれたり違和感があるところもほとんどなく、感心するばかりだ。

お互いに練習してくるのは当たり前だとしても一度でこれだけの完成度になることなんて、めったにない。