たとえ愛なんてなかったとしても

キャシーの肩をつかみ、その週刊誌に書いてあった放送禁止用語を、訳も分からず大声で連発した。

責任持ってお前全部これやれよ、と。



「ねえ、やっぱり......」


「......だよね。本当にそうなんだ」



事務所の練習室の廊下ということも忘れ、我を失っいた俺が、次に正気に戻ったのは遠巻きに俺たちを見ていた同じ事務所の新人の女たちがひそひそと話す声だった。


それに気づいてようやく口をつぐんでも、時すでに遅し。


誤解だと声をかける前に、彼女たちはさっさと立ち去ってしまった。



「誤解されたと思うか?」


「あんなことを大声で叫んでいたら、誤解されたでしょうね。

ねえ、もう一度言っておくけど、あんな週刊誌誰も信じないわよ。

誰々が女遊びが激しいとか、あのアイドルは男を喰いまくってるとか、本当かどうかも分からない下品なことばっかり書くんだから」



急激に冷静になって、キャシーの肩から手を離し、スマホを返す。

キャシーの言うことはもっともだ。
俺が自分で発言したことなら別だが、誰が暴露したかも分からない、証拠写真もない。

となれば全く信憑性はないわけだ。



「だけど、さっきの子たちには誤解されたかもね。
あの子たちが口の軽い子だったら、そこから噂が広がる可能性はあるかもしれない」


「......だろうな」