たとえ愛なんてなかったとしても

「世間の厳しさを知る前に、死んじゃうってば!猛獣に襲われるかもしれないし、変な虫に刺されて、病気になっちゃうかもしれないよ?」



短パンとTシャツしか持ってきてないし、格好の標的にされちゃうと必死にアピールをしていたら、仕方ないなとエリックくん。


小屋に入れてくれるのかとキラキラした目で見ていたら、大きなカバンから何かを取り出して投げつけてきた。



「虫よけスプレーと、長袖のジャージ」


「うわぁ、優し......くないよ!
防ぎきれないから!
ひどい!おに!きちくリーダー!」


「心配しなくても、日本には猛獣いないから大丈夫だって」



投げつけられた虫よけスプレーとジャージを握りしめながら涙目になっていると、俊輔くんから声をかけられる。



「うそだ、くまが人里におりてきたってニュースでやってたもん」


「この山にはたぶんいないだろうって、マネージャー言ってたよ」



たぶんって、そんな曖昧な。
いつも僕が曖昧な答えすると、もっとしっかり考えろとか、確信のもてることしか言うなとか言うくせに。