たとえ愛なんてなかったとしても

まだ話したそうにしているヒョンス兄を、強引にタクシーに押し込んで。


俺と英俊は、宿舎まですぐ近くなので歩いて帰ることにした。


真夜中で人気のない、街灯の明かりだけの薄暗い道を。


メンバーとプライベートで飯に行ったり、こうして二人で歩くなんて、どれくらいぶりだろうか。


今までメンバーとはお互いに深く関わらない、プライベートは詮索しないというスタンスできたけど。


ヒョンス兄に言われたように、アドレスさえ知らないのはさすがに問題かもしれないな。


Miracleのような仲の良さとまではいかなくても、もう少しお互いのことを知る努力をしないとまずいんじゃないか。



「そういえばさー、アドレス知らないって誰のこと?
何か用事でもあったの?」


「あー......、ちょっとキャシーに急ぎの用があって」


「へえ。
今日の朝まで一緒にいたみたいなのに、その時に聞かなかったの?」


「な!?なんで知って......、まさか今朝の車の中の会話聞こえてた?」



英俊の発言に目を見開く俺と、落ち着きはらっている英俊。


相変わらず天使のような笑顔を浮かべて、何でもないことのように。