たとえ愛なんてなかったとしても

「それに、今まで憎んできたけど、自分も大して変わらない人間だって気づいたよ。

俺も親と同じように最低な男だ。

俺は親と会って、憎んできた親に自分がよく似てると思い知ったけど、
お前は違うかもしれないし、会ってみたら」


「何が最低なんですか......?」



エリックさんは私にも親と会うことをすすめてくれてるんだろうけど、自分のことよりも、エリックさんが心配になる。


あくまで落ち着いて話しているけれど、それでもいつもとは違う気がして。

そう、たしか上海のホテルで話した時もこんな......。



「だってそうだろ。
俺はファンが思い描いてるような人間じゃない。

自分のためなら、簡単に人を騙すし、家族でさえも利用する。
いつだって、純粋な気持ちでステージに立っているわけじゃない。

ファンは、ただ純粋に歌が好きで歌っていると信じてくれていても、俺は......。

本当の俺を知ったら、みんな離れていくのにな」



エリックさんの言葉を聞いて、もう撮影があるから我慢しなくちゃとかそんなことを思うよりも前に、涙が溢れた。


エリックさんは、弱音を吐かない人だと思ってた。
私と同じような環境でも、強い人だと思ってた。

だけど、本当は......。